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新しい生命が芽吹く季節がやってきました。その中でも桜ほど、春を迎える喜びを感じさせてくれる花はありません。きっと皆さんにも、桜と共に心に刻まれた多くの記憶があることでしょう。 桜は私にとっても特別な花です。とりわけ１０年前からは・・・。 カンボジアで国連ボランティアとして共に活動した中田厚仁さんが射殺された日が桜の季節だったのです。ちょうど１０年前、１９９３年４月８日のことでした。 酷暑のカンボジアに桜はありませんでしたが、知らせを聞いた中田さんの家族は桜の一枝を持ってプノンペンにやって来ました。厚仁さんが生まれた時に庭に植えた桜の一枝だったそうです。 １９９５年、私自身も武装集団に襲撃されたことがあります。命の終焉を覚悟した恐怖。一瞬の後に実感した生きる喜び。それは自分にとって運命的な瞬間でした。自分の命が大切であると同時に、他人の命も同様に尊いのです。それが理不尽な戦争で奪われることがあるとすれば、何と悲しいことでしょうか。 身近な人が命を奪われ、自分自身も命の危機に瀕した経験は、自分の使命を明確にしてくれました。平和の尊さ、戦争の悲惨さを伝え、平和構築に寄与すること−今の私の活動の原点は、全てそこにあります。 「僕の夢は世界を平和にすることなんです」ルームメートだった中田君は、幼い頃ポーランドで見たアウシュビッツの記憶と共に、彼を駆り立てた思いを話してくれました。 その中田君が亡くなって８日で十年。彼は命を失った代わりに国際ボランティア活動に光を当て、間違いなく日本人の価値観にも変化をもたらしました。 彼が渡してくれたバトンをしっかり繋ぐ責任。より多くの人々と共に果たしていきたいと思っています。 (４月７日） ■ ＵＮＶ（国連ボランティア計画）プレスリリース・「中田厚仁氏 殉職十周忌追善式典」については、こちらをご覧下さい。
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